弁護士、司法書士、行政書士、税理士、会計士などこれまで第一線で活躍されてきた士業の皆さん。こんなお悩みはありませんか?
- 事業継続が難しくなったが、後継者がいない
- 事業継承を相談できるひとがいない
- 引退に向けてまとまった資金が欲しい
- クライアントへのサービスを中断して自分の評価を下げたくない
- 従業員の雇用を守りたい
このような悩みは、M&Aでの事業承継で解決できるかもしれません。
士業のM&Aは、事業承継や規模拡大、業務提携など、さまざまな目的で検討され広く注目されています。
しかし、M&Aには、専門性の高い資格を有する職業人が対象となるため、一般的なM&Aと比較して成功させるためのハードルが高いことも事実です。
そこで、本記事では、士業のM&Aを成功させるための秘訣を専門家が解説します。
目次
1.士業のM&Aの特徴
2.士業のM&Aを成功させるための秘訣
2-1. 目的を明確にする
2-2. 譲受側を慎重に選ぶ
2-3. デューデリジェンスを徹底する
2-4. 従業員や顧客の理解を得る
2-5. 専門家に相談する
3.まとめ
1. 士業のM&Aの特徴
士業のM&Aは、医療や介護などの専門職のM&Aと並んで、近年注目を集めている分野です。
ところが、士業のM&Aは一般的なM&Aと比較すると、いくつかの特徴があります。
専門性の高い知識や経験が不可欠
士業は、弁護士、税理士、会計士、司法書士、行政書士、社会保険労務士など、さまざまな職種があります。
これらの職種は、それぞれに専門的な知識や経験が求められるため、M&Aにおいても、専門性の高い知識や経験を持つ士業の支援が不可欠となります。
例えば、弁護士事務所のM&Aでは、法務の専門知識や経験が求められます。また、税理士事務所のM&Aでは、税務の専門知識や経験が求められます。
顧問先の移管や従業員の処遇など、事業承継に特有の課題
士業のM&Aの多くは、事業承継を目的として行われるものと考えられます。
そのため、顧問先の移管や従業員の処遇など、事業承継に特有の課題を解決する必要があります。
例えば、顧問先の移管では、顧問先の要望やニーズを十分に把握したうえで、スムーズに移管を行う必要があります。
また、従業員の処遇では、従業員の希望や意向を尊重したうえで、適切な処遇を決定する必要があります。
個人のライフサイクルや事務所の業績などによって、タイミングが異なる
士業の事業承継のタイミングは、個人のライフサイクルや事務所の業績などによって大きく異なります。そのため、柔軟な対応が求められます。
例えば、高齢になっても後継者がいないために早期に事業承継を検討するケースもあれば、事務所の業績が好調で、事業承継を後回しにする場合もあります。
士業のM&Aの注意点
これらの特徴を踏まえると、士業のM&Aを成功させるためには、以下の点に注意が必要です。
- 専門性の高い知識や経験を持つプロフェッショナルの支援を受ける
- 顧問先の移管や従業員の処遇など、事業承継に特有の課題を解決する
- 個人のライフサイクルや事務所の業績などによって、柔軟に対応する
具体に考慮すべき事項としては、以下のようなことが挙げられます。
- 顧問先の移管:顧問先が、譲受側の事務所の所在地や得意分野などによって、移管先を検討する場合があります。
- 従業員の処遇:従業員は、譲受側の事務所の待遇や将来性などによって、継続雇用を希望する場合と、退職を希望する場合が考えられます。
- タイミング:譲渡側は、事業承継のタイミングを早めたり、後回しにしたりすることで、リスクを軽減したり、事業承継後の経営体制を整えたりすることができます。
士業のM&Aを検討している方は、これらの特徴や注意点を踏まえて、計画的に進めていくことが重要です。
2. 士業のM&Aを成功させるための秘訣
士業のM&Aを成功させるためには、以下の秘訣を知っておくことが重要です。
2-1. 目的を明確にする
士業のM&Aを成功させるための秘訣のその1は「目的を明確にする」ことです。
士業のM&Aを成功させるためには、まず「なぜM&Aをするのか」という目的を明確になっていることが重要なのです。
もちろん譲受側(買い手)と譲渡側(売り手)の目的は異なりますが、相互に相手側の目的を認識することでM&Aを円滑に進めることができます。
逆に、M&Aの目的が明確になっていないと、譲受側やデューデリジェンスの重点事項などを適切に判断できず、M&Aを成功させることが難しくなります。
M&Aの具体的な目的の例としては、以下のようなものが考えられます。
- 事業承継:後継者不足や高齢化を理由に、事業を継続するためにM&Aを行う
- 規模拡大:競争力を高めるために、事業規模を拡大するためにM&Aを行う
- 新規事業への進出:新たな事業領域に進出するためにM&Aを行う
- 業務提携:事業の効率化や新たな価値の創出のためにM&Aを行う
目的が明確になると、次のようなメリットがあります。
譲受側の選定がしやすくなる
デューデリジェンスの重点事項を絞り込むことができる
M&A後の経営戦略を策定しやすくなる
目的を明確にするために、以下の質問を自分に問いかけてみるのもよいでしょう。
- なぜM&Aをするのか?
- M&Aによって何を達成したいのか?
- M&Aによってどのような変化をもたらしたいのか?
目的を明確にすることで、士業のM&Aを成功させるための第一歩を踏み出すことができるのです。
2-2. 譲受側を慎重に選ぶ
士業のM&Aを成功させるための秘訣その2は「譲受側を慎重に選ぶ」ということです。
士業のM&Aでは、譲受側との相性が重要です。譲受側を慎重に選ないと、M&A後にさまざまな問題が発生する可能性があります。
譲受側を選ぶ際には、以下の観点から検討することが重要です。
事業内容
譲受側の事業内容は、自らの事業内容と親和性があるかどうかを判断する必要があります。親和性がないと、M&A後に事業の統合や再編が必要になる場合があり、経営上のリスクが高まります。
例えば、税理士事務所が、弁護士事務所を譲り受けた場合、事業内容の親和性がないため、M&A後に事業の統合や再編が必要になる可能性があります。
ですから、事業承継を目的としたM&Aの場合、顧問先を引き継ぐことができる譲受側を選ぶことが重要なのです。
規模
規模拡大を目的としたM&Aの場合、自社の規模とバランスが取れている譲受側を選ぶ必要があります。
譲渡する側と譲受側の規模が大きく異なる場合は、統合後の経営体制の構築が難しくなる場合があり、リスクが高まります。
例えば、10名規模の税理士事務所が、100名規模の税理士事務所を譲り受けた場合、規模が大きく異なるため、統合後の経営体制の構築が難しく、混乱する可能性があります。
経営理念
譲受側の経営理念は、自社の経営理念と合致しているかどうかを判断する必要があります。
経営理念が異なる場合は、M&A後の経営方針のすり合わせが難しくなる場合があり、統合が破綻するリスクが高まります。
例えば、顧客第一主義を経営理念とする税理士事務所が、利益第一主義を経営理念とする税理士事務所を譲り受けた場合、経営理念が異なるため、M&A後の経営方針のすり合わせが難しくなるといったことです。
このように、譲受側を慎重に選ぶことで、M&A後のトラブルを未然に防ぐことができます。また、M&Aの成功率を高めることができます。
2-3. デューデリジェンスに備える
士業のM&Aを成功させるための秘訣の3つ目は「デューデリジェンスに備える」ことです。
デューデリジェンスとは、M&Aの対象となる会社(譲受側)の財務状況や経営状況、法務・税務上のリスクなどを調査するプロセスです。
デューデリジェンスを徹底することで、買収側はM&Aのリスクを把握し、適切な意思決定を行うことができます。
デューデリジェンスの種類
デューデリジェンスでは、主に以下の3つの分野の調査が行われます。
財務デューデリジェンス
財務諸表や資産・負債の状況を調査して、財務的なリスクを把握します。
譲受側の財務状況が悪ければ、M&A後の経営を圧迫する可能性がありますので、とても重要な調査項目です。
ビジネスデューデリジェンス
事業計画や顧客・取引先・競合他社の状況を調査して、事業上のリスクを把握します。
法務デューデリジェンス
譲受側に法令違反や訴訟などのリスクがある場合は、M&Aのリスクとなります。
そこで、定款・契約書や許認可の状況を調査して、法務・税務上のリスクを把握します。
デューデリジェンスをクリアするには
M&Aによって買収される側として、デューデリジェンスをクリアするために大切なことは、以下のようなことがあげられます。
リスクの正確な把握
まず、自社の財務状況や事業内容、法務・税務に関するリスクを正確に把握することです。
デューデリジェンスは、譲受側が対象企業のリスクを把握するための調査です。
そのため、譲渡側は、自社の財務状況や事業内容、法務・税務に関するリスクを正確に把握する必要があります。
自社の状況を正確に把握するためには、財務諸表の分析や、事業計画のレビュー、法務・税務の専門家によるアドバイスなどを実施することをおすすめします。
デューデリジェンスの調査に協力する
デューデリジェンスは、譲受側の専門家が対象企業の財務状況や事業内容、法務・税務に関する情報にアクセスして調査を行います。
そのため、買収される側は、デューデリジェンスの調査に協力する必要があります。
デューデリジェンスの調査に協力するためには、必要な情報や資料を準備し、調査のスケジュールを調整するなどの対応が必要です。
デューデリジェンスの結果を踏まえて、適切な対応を行う
デューデリジェンスの結果、対象企業にリスクが指摘された場合、買収される側は、適切な対応を行う必要があります。
リスクを軽減するために、対策を講じることや、譲受側と交渉して、リスクを織り込んだ買収価格を設定することなどが考えられます。
デューデリジェンスは、M&Aの成否を左右する重要なプロセスです。買収される側は、デューデリジェンスをクリアするために、上記の点を意識して対応することが大切です。
具体的には、以下の点に注意するとよいでしょう。
デューデリジェンスのスケジュールを早めに調整する
デューデリジェンスは、調査内容や対象企業の規模によって、数週間から数か月程度の期間を要します。
そのため、早めにスケジュールを調整しておくことで、調査に十分な時間を確保することができます。
デューデリジェンスの専門家に依頼する
デューデリジェンスは、専門的な知識と経験が必要な業務です。そのため、デューデリジェンスの専門家に依頼することをおすすめします。
デューデリジェンスの専門家は、対象企業の状況を正確に把握し、リスクを洗い出すことができます。また、譲受側と交渉する際にも、専門的なアドバイスをもらうことができます。
デューデリジェンスの結果を真摯に受け止める
デューデリジェンスの結果、対象企業にリスクが指摘された場合、買収される側は、それを真摯に受け止める必要があります。
リスクを軽視したり、隠蔽したりすると、M&Aの失敗につながる可能性があります。そのため、デューデリジェンスの結果を適切に分析し、必要な対応を講じることが大切です。
デューデリジェンスを徹底することで、M&A後のトラブルを未然に防ぐことができます。また、M&Aの成功率を高めることができるでしょう。
デューデリジェンスで自ら事業の魅力や価値を把握
デューデリジェンスは、M&Aの対象となる自ら事業の魅力や価値を把握するプロセスでもあります。
デューデリジェンスを徹底することで、M&Aの目的を達成するために必要な譲受側を適切に選定することも期待できます。
2-4. 従業員や顧客の理解を得る
士業のM&Aを成功させるための秘訣の4つ目は「従業員や顧客の理解を得る」ことです。
M&Aは、従業員や顧客の不安や不満を招く可能性があります。そのため、事前に理解を得るためのコミュニケーションを図ることが大切です。
従業員や顧客は、M&Aによって以下のような不安や不満を抱く可能性があります。
- 雇用や待遇の変化
- 事業内容や経営方針の変化
- 顧客や取引先との付き合いへの影響
これらの不安や不満を解消するために、事前に十分なコミュニケーションを図ることが重要です。
具体的には、以下の点に注意してコミュニケーションを図るとよいでしょう。
- M&Aの目的や背景を丁寧に説明する
- M&Aによって従業員や顧客にどのような影響があるのか、具体的に説明する
- 従業員や顧客の不安や不満に真摯に耳を傾ける
コミュニケーションを図ることで、従業員や顧客の不安や不満を解消し、M&Aを成功に導くことができます。
従業員への説明
・M&Aによって雇用や待遇に影響が出る場合は、その内容を明確に説明する。
・従業員の希望や意向を尊重して、配置転換や退職などの対応を行う。
顧客への説明
・M&Aによって事業内容や経営方針に変化が生じる場合は、その内容を明確に説明する。
・顧客の要望やニーズを把握し、M&A後の継続的な取引につなげる。
このような形で従業員や顧客の理解を得ることで、M&A後の経営を円滑に進めることができるでしょう。
2-5. 士業のM&Aに詳しい専門家に相談する
士業のM&Aを成功させるための秘訣の最後で最も重要なのは「士業のM&Aに詳しい専門家に相談する」ということです。
M&Aは、専門的な知識と経験が必要な複雑な手続きです。そのため、専門家に相談することで、成功の確率を高めることができます。
士業のM&Aには、一般の企業のM&Aとは異なる特徴や課題があります。そのため、士業のM&Aに詳しい専門家に相談することで、以下のメリットを得ることができます。
- M&Aの目的や戦略を明確にすることができる
- 譲受側の選定やデューデリジェンスを適切に行うことができる
- 従業員や顧客の理解を得るためのコミュニケーションを図ることができる
- M&A後の経営を円滑に進めることができる
具体的には、士業のM&Aに詳しい専門家と、以下のように相談してM&Aのプロセスを進めていきます。
M&Aの目的や戦略
事業承継を目的としたM&Aの場合、専門家に相談することで、顧問先の移管や従業員の処遇など、事業承継に特有の課題を解決するための具体的な戦略を策定することができます。
譲受側の選定やデューデリジェンス
事業内容や規模、経営理念などの観点から、譲受側を適切に選定するために、専門家に相談することができます。また、デューデリジェンスを実施する際にも、専門家に依頼することで、M&Aのリスクを的確に把握することができます。
従業員や顧客の理解を得るためのコミュニケーション
M&Aによって従業員や顧客にどのような影響があるのか、具体的に説明するために、専門家に相談することができます。また、コミュニケーションを図る際の進め方やポイントなどをアドバイスしてもらうこともできます。
M&A後の経営
M&A後の経営を円滑に進めるために、専門家に相談することができます。例えば、従業員の配置転換や退職などの対応、顧客や取引先との付き合いなどの具体的な対応策をアドバイスしてもらうこともできます。
士業のM&Aを検討している方は、専門家に相談することで、成功の確率を高めることができるでしょう。
3. まとめ
士業のM&Aは、事業承継や規模拡大、業務提携など、さまざまな目的で検討される有効な手段です。しかし、成功させるためには、以下の5つの秘訣を押さえることが重要です。
- 目的を明確にする
- 譲受側を慎重に選ぶ
- デューデリジェンスを徹底する
- 従業員や顧客の理解を得る
- 専門家に相談する
これらの秘訣を参考に、士業のM&Aを進めましょう。
さらに、士業のM&Aを成功させるためのポイントを以下にまとめます。
早期に検討を開始する
士業のM&Aは、準備や手続きに時間がかかります。そのため、早期に検討を開始し、十分な準備をすることが重要です。
専門家の支援を受ける
士業のM&Aは、専門的な知識と経験が必要な複雑な手続きです。そのため、専門家の支援を受けることで、成功の確率を高めることができます。
周囲の協力を得る
士業のM&Aは、従業員や顧客、取引先など、多くの関係者に影響を与えます。そのため、周囲の協力を得ることが重要です。
これらのポイントを押さえて、士業のM&Aを成功させましょう。
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